定額AIコーディングプランの「5時間枠」がすぐ尽きる…原因を調べてZ.ai・DeepSeek API・OpenCode Goをコスト比較してみた
また今日も5時間枠が尽きた
集中してコードを書いていると、突然「プランの上限に達しました」の通知。作業の真っ最中にAIコーディング支援が止まってしまう。この「5時間枠」がすぐ尽きる問題にずっと悩まされていました。
「最近やけに早く尽きる気がする。使用量が増えたのか、それともプランが変わったのか?」
この疑問から、定額コーディングプランの仕組みを徹底的に調べ、代替案としてDeepSeek APIとOpenCode Goをコスト比較してみました。この記事はその調査記録です。
使っていたZ.ai(GLM)コーディングプランの実態
私が使っていたのはZ.aiのLiteプラン。GLMシリーズのコーディングモデルを定額で使えるプランです。
プランの変遷と不穏な変更点
実はこのプラン、使っている間に何度も変更が入っていました。
- 5時間枠の削減: 120 → 80 に減らされた
- 週次制限の新設: 週単位でも上限が設けられた
- 旧レガシープラン廃止: 週次制限なしの旧プランが廃止され、新プランへ移行
- クレジット制への移行: トークン数ベースの計算方法に変更
つまり「消費が早くなった」感覚の正体は、単純に枠が減っていたのが最有力でした。GLM-4.7の利用自体が増えたわけではなく、プランの枠そのものが縮小されていたのです。これらのプラン変更・移行の経緯は Z.ai の公式アナウンスで確認できます。
出典: Z.ai プラン改定のお知らせ
クレジット/トークン消費の仕組み
新しいクレジット制では、トークンにモデルごとの「倍率」を掛けてクレジットを消費します。GLM-4.7は 入力4.6 / キャッシュ1.2 / 出力16 という倍率で計算されていました。
出典: Z.ai devpack overview / 想定トークン許容量
実測データ — 5時間枠で16Mトークン
実際に計測してみると、5時間枠(80プロンプト)で16Mトークンを消費して上限に達しました。このプランのクレジット消費は「トークン数 × モデル別倍率」で決まるため、倍率の低いキャッシュ・入力トークンが多ければ多いほど、同じクレジットで多くのトークンを扱えます。私の環境では入力の大部分がキャッシュとして計上されている(キャッシュ率が非常に高い)状態でした。
出典(倍率の定義): Z.ai devpack overview / 想定トークン許容量 — なお、16Mトークンという値は私の環境での計測結果であり、利用パターンによって大きく変わります。
「消費が早くなった」のはなぜ? 原因分析
調査の結論として、「使用量が増えた」のではなく、プランの枠が削減され、さらに旧プランから新プランへ移行したことが原因でした。
「月額料金は変わらないのに、使える量が減る」— これが定額プランの最大の落とし穴だと痛感しました。
比較対象の整理 — DeepSeek API と OpenCode Go
Z.aiのプランで枠が足りないなら、代替を探すしかありません。検討したのは2つ。
- DeepSeek API: 従量課金。V4-Flash / V4-Pro はコーディング性能が高く、単価が安い
- OpenCode Go: 月額定額。DeepSeek V4等を定額で使い放題に近い形で提供
出典: DeepSeek API 価格 / OpenCode Go ドキュメント
コスト比較の考え方 — 「公定APIで$60相当のリクエスト数」
定額プランと従量課金を単純比較するため、「公定APIで$60動かした場合に何リクエスト使えるか」を基準に換算しました。
1リクエストあたりのトークンと単価で換算する
1リクエストあたりのトークン消費(入力/キャッシュ/出力)と、各モデルの公定API単価から、$60で動かせるリクエスト数を計算します。1リクエストあたりのトークン内訳は OpenCode Go の観測値を、単価は各社の公定API価格を用いました。
比較表(モデル別の$60相当リクエスト数)
| モデル | 公定API $60相当 |
|---|---|
| DeepSeek V4 Flash | ~158,000 |
| DeepSeek V4 Pro | ~68,500 |
| GLM-4.7 | ~9,200 |
| GLM-5.2 | ~3,960 |
出典: 1リクエストあたりトークン内訳 = OpenCode Go ドキュメント / 単価 = DeepSeek API 価格・Z.ai GLM API 価格
DeepSeek系は単価が安い分、$60で圧倒的に多くのリクエストを動かせることがわかります。
OpenCode Goの仕組みと裏事情
「月$60枠」= 公定API換算ではない、という落とし穴
OpenCode Goは「$10/月で、$60相当の使用量(6xマルチプライヤー)」をうたっています。しかし、この「$60」はOpenCode内部で計算されたドル価値であり、公定API換算の$60保証ではありません。
モデルによって内部価格が異なるため、同じ$60でも実質価値が変わります。GLMやV4 Flashは公定価格ベースで$60の価値が得られるのに対し、V4 Proだけは一時、公定の4倍の内部価格が設定されていました。
出典: OpenCode Go ドキュメント(サブスク・使用制限) / OpenCode Go 利用制限(日本語版)
「$10払って6倍の$60分使える」仕組みと、V4 Proだけの4倍マークアップ問題
OpenCode Goは、会員が払う$10に対してその6倍にあたる$60分の使用量を提供することを目指しています。元のモデルを大口契約で割引して仕入れ、その安い単価を会員価格にも反映することで「6倍」を実現している仕組みです。
ところがDeepSeek V4 Proは、元々の公定価格が安すぎて利益の余白がなく、6倍分を提供できませんでした。そのため運営はV4 Proにだけ公定の4倍の内部価格($1.74/$3.48)を設定し、$60枠内のリクエスト数を調整していました。
結果、V4 Proは$60枠に見えて、実質公定APIの$15相当しか使えませんでした。
価格改定でV4 Proは是正されたのか? — 現状
この問題はGitHub issueで大きく議論されました。DeepSeekは2026年5月22日にV4 Proの価格を恒久的に公定価格($0.435/$0.87)へ引き下げましたが、OpenCode Goは公定の4倍の旧価格で課金し続けていることが、運営コメント(2026年7月時点)でも明言されていました。その後も是正を求めるissueが多数上がっています。記事執筆時点の公式ドキュメントの価格表は、V4 Proだけが旧価格($1.74/$3.48)のままでした。
出典: GitHub issue #29008 / #31504 / #28846 / OpenCode Go ドキュメント
「定額に切り替えて元が取れる」のは月何トークンからか
V4 Flashを定額($10)で使う場合、公定APIの従量課金と比べて何トークン使えば元が取れるかを計算しました。キャッシュヒット率で大きく変わります。
| キャッシュヒット率 | $10で使えるトークン量 |
|---|---|
| 0% | ~60M |
| 50% | ~88M |
| 90%(エージェント典型) | ~145M |
| 98.8%(OpenCode観測) | ~18億 |
この表でひときわ目立つのが最下段の18億トークン。キャッシュヒットの単価が通常入力の約1/50と圧倒的に安いためです。ただし、さすがにここまで使えるとは思っていません。この値はOpenCodeが観測した「入力の98.8%がキャッシュ」という理想的な利用パターンに基づく理論値で、自分の使い方で同じになるとは限らないからです。
現実的なエージェント運用(キャッシュ90%)なら、月約140Mトークンを超えると定額の方がお得になります。
※ 「98.8%(OpenCode観測)」は、OpenCode Go が公開しているV4 Flashの1リクエストあたりトークン内訳(入力790 / キャッシュ68,000 / 出力280)から算出したものです。
出典: OpenCode Go ドキュメント(1リクエストあたりトークン内訳) / 単価 = DeepSeek API 価格
結論 — どのプラン・モデルを選ぶべきか
| Z.ai Lite | OpenCode Go | |
|---|---|---|
| 月額 | $18 | $10 |
| 私の使用量(月320M相当) | 使い切る寸前 | 余裕 |
| コスパ | 枠が少ない | 優位 |
私の使用量(月約320Mトークン)では、OpenCode Goの方が明確にコスパが良く、余裕度も高いという結論になりました。
- 大量に使うなら V4 Flash(リクエスト数が圧倒的に多い)
- 高品質が必要なら GLM-5.2 / V4 Pro
注意点と落とし穴
- キャッシュヒット率で数字が変わる: ブレークイーブンはキャッシュ率次第。実際の使い方で確認が必要
- ドキュメントと実課金のズレ: OpenCode Goのドキュメントのリクエスト数表は、価格改定後も古いままのものがある
- 運営方針の変更リスク: V4 Proの価格が再度変わったり、モデル提供が変わる可能性がある
まとめ
定額コーディングプランの「枠がすぐ尽きる」問題の原因は、プランの枠削減でした。代替を比較した結果、OpenCode Goの定額プランはコスパ・余裕度とも優位という結論に至りました。
ただし、定額プランの「◯◯ドル相当」という数字は、モデルによって実質価値が変わることがあります。必ず実測で確認するのが安全です。
定額プランの枠に悩んでいる方の参考になれば幸いです。
※ 数値のうち「私の環境での実測」(5時間枠16Mトークンなど)は外部出典にはなく、実際の利用パターンによって変動します。
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